ガスコンロの概要と特徴、その歴史
ガスコンロは、ガスを燃料とするコンロの一種で、日本の家庭には欠かせない調理器具として長年親しまれてきた。
ガスコンロは調理器具として日本の家庭に広く普及しているが、最近は、安全性の高いIHクッキングヒーターに置き換わりつつある。
ガスの燃焼によって生じる熱は、さまざまな素材を美味しく調理してくれて、IHクッキングヒーターとは異なる魅力がある。
この記事では、ガスコンロの仕組みや特徴、種類、について詳しく解説していく。
ガスコンロのしくみを知り、上手に利用することで、おいしい料理を提供する一助となる。ガスコンロの魅力を再確認しつつ、安全面にも配慮しながら使いこなしていこう。
従来のコンロ
本来コンロとは運搬可能な調理用の「炉」をさしていた。江戸時代の遺構(江戸遺構、四国城下町遺構など)から多くの持ち運び可能な土師(はじ)製火床が発掘されている。
七輪(しちりん)もコンロの一種であり、江戸時代の終わり頃までには作られたことが分かっている。七輪とは珪藻土などで作られ、燃料に木炭などを使うコンロの一種で、空気取り入れ口の加減で火力を調節するが、燃料の燃え具合の調節が難しい。
現在のコンロ
今日では、コンロと言えば一般的にガスコンロを指すことが多い。ガスコンロには、ガス栓からホースを使ってガスを供給する定置式と、ボンベに液化ガスを充填して移動可能な可搬式がある。
近年では、ガスコンロと電磁調理器のIHクッキングヒーターを一体化したコンビネーション型のコンロも登場している。電気で加熱するプレートヒーターは、保温目的で皿や鍋を温めるものだが、調理はできないためコンロには含まれない。
また、キャンプや登山などのアウトドアシーン向けに、さまざまな種類の小型・軽量な携帯用コンロも存在する。
このように、コンロの形態は時代と用途によって進化を続けている。こたつの起源をたどる上で、コンロの変遷を理解することは重要なのだ。
コンロの汚れ
コンロは、調理時に飛び散る油や食材の片割れなどで汚れやすい。こうした汚れは腐敗や害虫を引き寄せる原因となり得る。ガスコンロの場合、バーナーの目詰まりを起こし、燃焼不良のリスクがある。
電気やIHクッキングヒーターでは、汚れによる腐食や漏電の可能性もある。IHクッキングヒーターは、基板を冷却ファンで常に放熱させる必要があり、吸気口のフィルター詰まりにも注意が必要だ。燃料式のコンロは、換気に常に気を配らねばならない。
このように、コンロは調理中の汚れにより、様々なトラブルを引き起こしうる。定期的なお手入れとメンテナンスが重要である。
コンロの熱源
コンロには、熱源の違いによって大きく2つの種類がある。1つは電気を利用するもので、抵抗発熱や電磁誘導を用いる。もう1つは、燃料の燃焼により熱を発生させるものだ。燃料には、固形燃料、液体燃料、気体燃料などさまざまな状態のものがある。
電気式のコンロ
電気式のコンロは安全性や操作性に優れる一方、燃焼式は高温やダイレクトな火力調整が可能な点で特徴がある。燃料の違いも熱効率や扱いやすさなどに影響する。
ガスコンロ
ガスコンロは、都市ガスやプロパンガス(LPG)などの可燃性ガスを燃料とする。安定した火力を発揮するため、調理用途に最適だ。
一方で小型のガスコンロは、常温でも安定した火力が簡単に得られる特徴がある。そのため、ブタンガスや混合ガスを充填したカートリッジを利用した製品もある。これらは耐圧性の低い容器を使用でき、携帯にも適している。
このように、ガスコンロには、大型の高火力タイプから小型携帯タイプまで、用途に応じた多様な製品がある。ガスの扱いやすさと安定した火力が、コンロの進化を支えてきたと言える。ガス燃料の果たした役割は大きい。
据え置きタイプ
ガスコンロの据え置きタイプは、プロパンガスや都市ガスを使用し、火力調整が簡単な特徴がある。そのため、高温を必要とする炒め物から、長時間の弱火を要する煮物まで、用途は非常に幅広い。携帯型のガスカートリッジ式も、他の移動式コンロと比較すると、着火が容易で高温を得るのが比較的簡単である。
このように、ガスコンロは火力調節のしやすさから、あらゆる調理ニーズに対応できる万能なコンロだと言える。その扱いやすさと、使い勝手の良さが、ガスコンロを重要な役割を果たしてきた理由の1つである。
ガスコンロの燃料
ガスコンロの燃料には、大きく天然ガスと液化石油ガス(LPG)の2種類がある。
天然ガスはメタンを主成分とし、LPGはプロパンやブタンを主成分とする。適切な燃焼を得るためには、ガスの種類に合ったコンロを使用する必要がある。部品交換で燃料の転換が可能なコンロもあるが、思った以上に費用がかかるケースも少なくない。
ガス種の違いは、発熱量や燃焼特性などに影響するため、コンロの選択時には供給ガスを確認することが重要だ。
液化石油ガス(LPG)
液化石油ガス(LPG)を充填したカートリッジ式の卓上用やキャンプ用の携帯型ガスコンロは、温度や気圧の影響を受けやすい。
寒冷地や高所では、LPGの揮発・膨張率が大きく変動するため、使用に支障が出ることがある。そのため、一般的にこの種の製品は、ブタンに比べて揮発性の高いイソブタンやプロパンを配合した冬季専用ガスが充填されているものが多い。
このように、携帯型ガスコンロは環境条件の影響を強く受ける。
一酸化炭素中毒
ガスコンロは、換気が不十分な室内での使用は一酸化炭素中毒のリスクがある。不完全燃焼により発生する一酸化炭素は嗅覚では検知できないため、家庭用ガスには安全のために付臭剤が添加されている。
また、ガス漏れ事故に備えて、ガスメーターやヒューズ付ガス栓などの安全装置も普及した。
ガスコンロの事故は誤使用が主な原因だが、安全機能を備えた製品の普及により、事故は減少傾向にある。適切な知識と使用法、そして維持管理の大切さを知ることが、ガスコンロの安全な利用の鍵となる。
家庭用ガスコンロ
家庭用のガスコンロには、ガス栓からホースで接続する移動式のガステーブルと、システムキッチンに組み込まれ固定されるビルトインコンロがある。
グリルを備えたガスレンジや、オーブン付きのガスオーブンレンジなど、機能を付加した製品もある。業務用の大型鍋専用には、鋳物製のハイカロリーコンロも用いられる。
家庭用のガスコンロは、都市ガス用とプロパンガス用があり、使用するガスの種類に合った正しい機器を選ぶ必要がある。誤った機器の使用は、不完全燃焼やガス漏れ事故の重大なリスクとなる。こたつとともに安全に利用するためには、ガスコンロの特性と使用法に関する知識が欠かせない。
ガスコンロを安全に使用する
ガスコンロを使用する際、周囲の壁への熱の蓄積は「壁内自然発火」のリスクがあるため注意が必要だ。防熱金属板の取り付けや、強火力バーナーを壁から遠ざけるなどの配慮が重要になる。
また、ガス漏れ検知の警報器を床面近くに設置し、換気扇は不燃性の金属製にするなど、安全対策が法制化されている。
キッチンでは熱がこもりやすく、ガスコンロの安全な使用には一層の注意が必要だ。適切な知識と機器選択、そして維持管理があってこそ、ガスコンロは高い性能を長期にわたり発揮できる。
ガスコンロのゴムホースは劣化しやすく、2〜3年に一度の交換が推奨される。老朽化したホースからのガス漏れは、爆発や中毒事故につながるリスクがあるためだ。
また、ガスの分岐配管は、漏れや不完全燃焼の危険があるので禁止されている。
乾電池
据え置き型ガスコンロは、点火と安全装置の動力に乾電池を使用している。電池の寿命が尽きるとランプの点滅で交換時期を知らせる機能がある。
通常1年程度で交換が必要となるが、不要な放電やガス遮断時の放電で早期に消耗することもある。着火がおかしくなったら電池の交換を考えよう。
設置や撤去は資格者が行う
ガス機器の設置や撤去は資格者が行う必要があり、素人が勝手に行ってはならない。リフォームやオール電化での機器移設・撤去の際も、ガス事業者への確認が義務付けられている。
ガスの専門知識と適切な管理は、ガスコンロを安心して利用するうえで欠かせない要素だ。
減少傾向
最近は、オール電化住宅の普及やIHクッキングの登場、ガス料金の高騰などの要因で、据え置きガステーブルの需要は減少傾向にある。
しかし、災害時の調理手段として、また、火力の強弱の細かなコントロールなどガスならではの利点は依然大きい。