紙パック式・サイクロン式 掃除機の集じん方式とそのメリット・デメリット
掃除機の集じん方式とは、掃除機が吸い込んだゴミやホコリをどのように取り込み、保持、または処理するかについての方式や仕組みのことを指す。掃除機の集じん方式は機種によって異なっている。
掃除機の集じん方式は、日頃の掃除機の使い方に関わってくるので知っておきたいところだ。
掃除機の集じん方式には、紙パック式とサイクロン式の2つの方式の大別される。以下に、それぞれの方式の特徴をまとめていく。
紙パック式
紙パック式の掃除機は、従来からよく使われている集じん方式の一つだ。以下に紙パック式の特徴を挙げる。
紙パック式の特徴は
- 紙パックごとゴミとしてそのまま捨てられるので簡単で、ゴミを見なくて済む
- フィルターが必要ないので手入れの手間が少ない
- 掃除機内の密閉性が高く、集じん能力が高い
- 紙パックの交換が必要で、紙パック購入コストがかかる
紙パック式とは
掃除機の集じん方式の一つは、「紙パック式」と呼ばれる。この方式では、吸引されたゴミを袋状になった紙パックで濾し取ります。英語ではこの袋は「ダストバッグ(dust bag)」と呼ばれ、日本では一般的に「パック」と呼ばれる。
紙パック式の長所は、紙パックがゴミ袋とフィルターの役割を兼ねているため、フィルター掃除が不要である点や、ゴミ捨てが紙パックごと行えるため、ゴミ捨ての回数が少なくて済むことだ。また、紙パック内でゴミが自然に圧縮されるため、ゴミの量が少なくなるという利点がある。
紙パック式のデメリット
一方で、紙パック式の短所としては、ゴミが溜まってくると内面に付着した微粒子によって吸込力が低下するという欠点が指摘されている。ただし、一部の製品では自動で紙パックを叩くなどしてホコリを落とすことで、ほぼ満杯まで吸引力を維持できる機能がある。
また、紙パックは使い捨てのため、定期的に購入する必要があり、ランニングコストや紙パックの供給に関する製品寿命への影響、予備の用意が必要な点などの煩わしさもある。また、純正品以外の汎用紙パックを使用する場合、メーカー保証の対象外になることが多い。
最近の掃除機には、紙パック交換時期を知らせる「紙パック交換サイン」が付いているものもある。また、一部の上位モデルではゴミ捨て時に紙パックの穴が塞がり、ゴミこぼれを防ぐためのシャッターが付いている。
最近では、専用の紙パックを購入せずともティッシュペーパーで代用できるタイプのものもある。
注意として、ゴミ漏れによるモーター故障を防ぐために、掃除機本体の蓋は使用機種に適合した各メーカー純正紙パックが正しく取り付けられていないと閉まらないようになっている。
紙パック式の特徴
ゴミが密封される
紙パックはゴミを包み込む袋のようなものであり、ゴミが掃除機内部に漏れ出すことがありません。これにより、ゴミの飛散を防ぎ、アレルギー対策に有効です。
交換が簡単
使用後は紙パックを取り外して捨てるだけで、掃除機を清潔に保つことができます。使い捨てのため、手間がかからず、清潔に保ちやすいです。
多様な種類のパックが利用可能
掃除機メーカーによってさまざまなサイズやタイプの紙パックが提供されている場合があります。家庭のニーズに合わせて容量やフィルターの性能などを選ぶことができます。
フィルター機能が兼ね備わっている
紙パック自体がフィルターの役割も果たします。掃除機から排出される空気がクリーンになり、埃や微小な粒子の漏れを最小限に抑えることができます。
掃除機の吸引力が長持ちする
紙パック内でゴミが溜まっていくため、掃除機の吸引力が長く持続しやすい傾向があります。定期的な交換を怠らない限り、吸引力が一定程度保たれます。
紙パック式掃除機の注意点
ただし、紙パック式の掃除機にはいくつかの注意点もある。
紙パックは使い捨てなので、定期的に交換する必要があります。パックの交換頻度によってランニングコストがかかる可能性がある。
パックの残量が目に見えないため、いつ交換すべきかを把握するのが難しい場合がある。
ゴミの捨て場所によっては、パックを処分する際の環境問題が発生することもある。
サイクロン式
サイクロン式の掃除機は、集じん方式の一つであり、空気とゴミを遠心力を利用して分離する仕組みになっている。
サイクロン式の特徴は
- 集じん容器にゴミがたまるので、ゴミの量が一目でわかる
- 集じん容器が洗えるので、お手入れが簡単
- 集じん能力が高く、吸引力が持続する
- 紙パック式に比べて、本体が大きくなりがち
サイクロン式
サイクロン掃除機の利点は、専用の紙パックが必要ないことから生じる利便性と、毎回の出費が不要なため経済的であることだ。
キャニスター式の掃除機より、ゴミ捨ての頻度が多くなる欠点もある。
「サイクロン方式の吸込仕事率は紙パック式掃除機の約1/3しかない」とされている時期もあった。2015年8月にパナソニックが、ダイソンと同等の粉体分離方式の掃除機を投入し、日本の紙パック掃除機の水準の吸引仕事率を実現。このため、ダイソンの粉体分離方式の独占は終わったとされる。
ダイソン社は、サイクロン掃除機の仕組みのおかげで、フィルター目詰まりによる吸引力の低下が、紙パック方式よりも緩慢であると主張している。
2006年に行われた日本の国民生活センターのテストでは、ダイソンのサイクロン掃除機はダイソン社の主張通り紙パック式よりも吸引力の低下が緩やかだった。
しかし、ダイソン以外のサイクロン掃除機では、掃除を重ねると吸込力が紙パックと比べて低下しやすい結果となっている。
サイクロンの原理
掃除機の「サイクロン」という言葉は、元々1886年にアメリカのモース(M.O.Morse)によって発明された粉体分離方式を指す。サイクロン式は、コーン状の筒の中で空気を回転させ、遠心力によって空気と粉体を分離するのが原理だ。
そして、この粉体分離方式を1983年にイギリス人の発明家ジェームズ・ダイソンが掃除機に応用。その後、ダイソンの掃除機が商業的な成功を収め、「サイクロン方式」という言葉は、一般的にダイソン社の掃除機を指すことが多くなった。
モースのサイクロン粉体分離方式を使わなくても、吸い込んだ空気を回転させて遠心力によって大きなゴミや砂などを分離する仕組みを持つ掃除機もある。このような機種も一般的に「サイクロン方式」と呼ばれることがある。
ただし、これらの掃除機の排気には依然として、微粒状のホコリが多量に含まれているため、別途フィルターで濾過する必要がある。
掃除機の種類によっては、空気と粉体の分離の大部分をフィルターに頼っているものもあり、サイクロン式掃除機との区別が曖昧になることがある。多くの場合、蛇腹になったフィルターか、ヒダが放射状になった菊花形フィルターを使用して集塵効率を向上させている。
そのため、吸込仕事率は紙パック方式とほとんど変わらない掃除機も存在する。
欠点としては、フィルターの目詰まりによる吸込仕事率の低下が挙げられる。このため、サイクロン粉体分離方式を使う掃除機に比べて、頻繁なフィルターの洗浄が必要になる。
ただし、自動的にフィルターのチリを叩き落す機構を備えた機種も多く存在する。フィルターの水洗浄をこまめに行えば、吸込仕事率の低下を防ぐことができる。
また、一部の製品では補助としてティッシュペーパーを使用することが推奨されている。ティッシュペーパーを使用すると、濾過面積が減るため多少吸引力が低下する可能性があるが、ゴミ捨てが簡単で清潔になるという紙パック式の利点を一部併せ持つことができる。
サイクロン式の特徴
以下に、サイクロン式の主な特徴を説明する。
フィルターが不要
サイクロン式の掃除機では、ゴミを遠心分離することで、通常の掃除機と比較してフィルターが不要となります。このため、フィルターの詰まりによる吸引力の低下を防ぐ。
持続的な吸引力
サイクロン分離により、ゴミがフィルターに詰まることが少なく、掃除機の吸引力が持続しやすくなります。長時間の使用でも一定の性能を保つ。
ダストコンテナが透明
サイクロン式の掃除機の多くは、ダストコンテナが透明な素材で作られている。これにより、ゴミの溜まり具合が一目で分かる。
ダストコンテナの取り扱いが簡単
ダストコンテナを取り外してゴミを捨てるだけで簡単に清掃できる。使い捨てのパックを交換する手間がないため、ランニングコストを抑えられる。
フィルターのメンテナンスが少ない
ゴミがフィルターに直接触れることが少ないため、フィルターのメンテナンスが少なくて済む。
サイクロン式の掃除機の注意点
ただし、サイクロン式の掃除機にもいくつかの注意点がある。
- ゴミの分離性能には品質の差があるため、安価な製品は効率が低下する場合がある
- サイクロン式の掃除機は一般的にバッグ式に比べて本体が大きくなりがち
- 遠心分離では微小な粒子やアレルゲンを完全に捕捉できるわけではない
掃除機を選ぶ際には、家庭のニーズや掃除頻度、アレルギー対策の必要性などを考慮して、最適な集じん方式を選ぶと良い。
カプセル式掃除機
掃除機の集じん方式で、サイクロン式と紙パック式が9割以上を占める。
ごくわずかに、カプセル式というのもある。
カプセル式掃除機は、コンパクトなサイズで本体に集じん容器(カプセル)を内蔵した掃除機のことを指す。この方式では、パックを使用せず、直接ゴミやホコリをカプセルに収集していく形だ。
カプセル式掃除機の特徴は以下の通りだ。
コンパクトなサイズ
本体に集じん容器が内蔵されているため、従来の掃除機よりもコンパクトで軽量なデザインとなっている。取り回しや収納が簡単。
パックの交換不要
カプセル式掃除機は集じん容器が直接本体に組み込まれているため、パックを交換する手間がない。ゴミ捨てが簡便で、ランニングコストが低い。
透明なカプセル
カプセルが透明な材質で作られていることが多く、ゴミの溜まり具合が一目でわかる。いつゴミが満杯になるかを確認しやすく、タイミングよくゴミ捨てを行える。
集じん効率の向上
一部のカプセル式掃除機は、サイクロン分離技術などを採用して集じん効率を向上させている。ゴミやホコリをしっかりと捕捉することができる。
メンテナンスの簡易化
カプセル式掃除機はフィルターの交換が必要な場合もあるが、一般的にはフィルターの洗浄が簡単に行える機種が多い。