地震に備えるための基本知識
地震は私たちの日常生活において突然現れる自然災害の一つであり、その影響は非常に広範囲にわたる。
地球の地殻で起こる力学的な変化が原因で発生する地震は、私たちにとって身近な存在でありながら、そのメカニズムや対処方法について十分に理解されているわけではない。
地震が私たちの生活に及ぼす影響を理解するには、その基礎知識が不可欠だ。
本記事では、地震の基本的な知識を、まず押さえていく。
地震とは
地震は、地震学の定義によれば、地球の地殻内部で固い岩石同士が断層と呼ばれる破壊面で急激にずれ動き、それに伴って地面が振動する現象である。この振動が地震動と呼ばれる。
地下の岩盤は様々な要因によって圧力を受けており、地震はその圧力を解消している。これは地球内部の地質現象であり、地殻が遅い速度でずれることを地殻変動と呼ぶ。
断層
地震によって変形した岩石の断面が断層と呼ばれる。通常、これらの断層は地下数キロから数十キロの深さにあり、地表には通常現れない。大規模な地震の場合、地表にも現れることがある。
断層は一度形成されると、その強度が低下し、繰り返し地震を引き起こす可能性がある。サンアンドレアス断層のような長大な断層は、地震学者によって地震と断層の関連があることが示された。日本においても野島断層、根尾谷断層、丹那断層などが有名な断層だ。
地震波
地震による振動は、高速の地震波として地下を伝播し、地表で感じられる地震動として現れる。
地震波はさまざまな種類があり、地中を伝わる実体波と地表を伝わる表面波に分類される。実体波には速度の速いP波と速度の遅いS波がある。
通常、初期微動はP波によって引き起こされ、主要な振動は主にS波によって生じる。
P波とS波の伝播速度の違いから、初期微動の到達時間を、観測地点と震源との距離に関連付けることができる。初期微動が長いほど震源は遠くにあることを示し、初期微動が長く、主要動が大きい場合、地震は大規模な可能性が高い。
この理屈は警報システムで活用されている。
断層が地下で動くと、最初に動いた地点を震源と呼び、地表上の真上を震央と呼ぶ。一般的に使用される震源の位置は震央を指し示す。震源が動いた後、周囲にずれが生じ、このずれた領域全体が地震波を発生させる。
震源までの距離 震源の位置 震源の深さの推定
地震波の速度はほぼ一定であり、P波S波の異なる波の性質を利用して、地震計を使用して観測地点から震源までの距離、震源の位置、震源の深さを推定することができる。
この推定方法は、大森房吉によって1899年に発表され、大森公式と呼ばれている。
地震観測網は地震を含む地下現象の研究や核実験の監視などに役立てられ、日本では地震計や震度計が高密度に設置され、気象庁による迅速な地震情報発表や緊急地震速報に活用されている。
また、一つの地震の地震波には異なる周期の成分が含まれているため、被害が異なることがある。近隣地域でも、地盤の構造や建物の大きさや形状によって揺れ方が異なることが知られている。
地震は震源の深さに応じて浅発地震、稍深発地震、深発地震に分類され、これらの震源の深さにより揺れの大きさが異なる。
地下の構造によっては震央から遠く離れた地域で大きな揺れが発生することがある。地震を特徴づける要因には、発震機構、地震の規模なども含まれる。
地震の大きさ
地震の大きさを示す指標は、主に2つの系統が存在し、それぞれいくつかの種類がある。
M(マグニチュード)は、地震の規模や断層の大きさ、または地震発生時に放出されるエネルギーの量を示す指標である。
震度は、地表の各地点での揺れの強さを示す指標であり、単に「ある地震の震度」と言った場合、その地震における全ての観測地点の中で最も強い揺れを指すのだ。
本震 前震 余震
比較的大きな地震は、地震活動に時間的・空間的なまとまりがある。その中で最も規模が大きな地震を本震と呼ぶ。
ただし、本震の区別が容易でない地震も存在し、断層のずれの程度や前後に起こる地震の経過、断層の過去の活動などを考慮して判断される。本震に対して、その前に起こるものを前震、その後に起こるものを余震と呼ばれる。
余震
被害をもたらすような大地震では、ほぼ例外なく余震が発生し、余震により被害が拡大する事例も多く見受けられる。
大きな地震ほど、余震の回数と規模が増加するが、次第に減少する傾向があり、その予測には「(余震の)改良大森公式」が用いられる。
この公式から、余震の発生確率を予測する研究や、活動度の低下から大きな余震の発生を予測する研究も行われている。
余震の発生範囲は震源域とほぼ一致する。
大地震の地殻変動の影響により、震源域外で地震活動が活発になる場合もあり、これを誘発地震と呼ぶ。
群発地震
本震と呼べるほどの大規模な地震が存在せず、同様の規模の地震が多発する現象を群発地震と呼ぶ。
また、同じ断層で数十年から数万年以上の間隔で繰り返し発生する地震を固有地震(相似地震)と呼び、大地震クラスの複数の固有地震が同時または短い間隔で発生し(主に隣接するセグメントを破壊し)る現象を連動型地震と呼ぶ。
地震による災害
大きな地震は通常、建物を破壊し、財産を散乱させ、火災や土砂災害などを引き起こす典型的な自然災害だ。
地震の予知研究が進行中ではあるが、科学的な予報や予知が確立されておらず、ある日突然訪れる。
そのため、私たちは防災と減災の考え方に従い、建物や地盤の強度を調査して補強し、災害時の生活必需品を備蓄し、避難計画を策定するなど、常に備えを整える必要がある。
また、海域で発生する大規模な地震はしばしば津波を引き起こし、地震の揺れを感じなかった地域にも災害をもたらすことがある。
地震の基本知識を学び、理解することは、私たちの安全と災害への備えにとって不可欠だ。大地震が起こったその瞬間、私たちは自然の力の前に無力であることを実感するが、正しい知識と適切な対策を持つことで、その影響を最小限に抑えることができる。