地震のメカニズムと基礎知識2
地震は、地球の表面における驚異的な現象の一つであり、その理解は我々にとって極めて重要だ。地球内部で何が起こり、なぜ地震が発生するのかを知ることは、災害対策や地震予知の向上に不可欠だ。
本記事では、地震がどのようにして生じる原因や、その背後に潜む複雑なメカニズムに迫り、地球の力学的な奥深さを探求していく。
地震のメカニズム
地球の表層はプレートと呼ばれる硬い板のような岩盤で構成され、これらのプレートは常に移動し、相互作用しながら存在している。このため、プレート内部およびプレート同士の境界部には、力が加わり、歪みが蓄積している。
岩盤内では、低密度で脆弱で、高温で粘性が高く、強力な摩擦力が働くため、歪みがたまりやすい領域が存在する。ここで応力が局所的に高まり、岩盤の剪断破壊強度を超えると、断層が発生したり、既存の断層が動くことが地震とされている。
断層は過去の地震で形成された傷跡のようなものであり、地殻内で応力が集中しやすいため、断層では定期的に地震が発生する。断層の大きさは数百メートルから数千キロメートルに及び、再来間隔も数年から数十万年まで様々だ。
活断層
一部の断層は何百万年も前から動いておらず、これらは地震を引き起こさないが、現在も活動中の断層を活断層と呼ぶ。日本だけでも約2,000の活断層が存在している。ただし、活動状況を判断するのは難しく、また、大規模な調査が必要な場合もあるため、以前は非活動的と考えられていた断層や未知の断層が地震を引き起こすことがあるため、防災上の注意が必要である。
横ずれ断層
岩盤内で応力が蓄積されると、単に押し合う力だけでなく、引っ張り合う力や、すれ違う力など、さまざまな向きの力が発生して合わさり、これが断層のずれ方に影響を与える。押し合う応力によって逆断層が形成され、引っ張り合う応力によって正断層ができ、そしてすれ違う応力によって横ずれ断層が生じる。
多くの断層では、通常、正断層型または逆断層型のずれが多く、それに少しの横ずれが組み合わさる。
摩擦面での破壊と振動
プレート境界が瞬間的にずれて跳ね上がり、その動きが地震の揺れと同じようにテレビ番組では説明されることがある。しかし、実際のところ短周期の揺れは、ずれが生じる際の摩擦による振動である。断層型地震などの最終的な揺れの主要な原因は、地上の岩石の破壊実験によって生じる振動と、摩擦面での破壊だ。
震源域が広くずれが長時間にわたっている場合、揺れも長い。津波は、海底のずれが海水に伝播することによって引き起こされる。
地震の始まり
地震の始まりは、岩盤内部のある一点で破壊が始まり、急速に岩盤がずれて歪みを解放する過程だ。この始まりの点は「震源」と呼ばれ、破壊されてずれた部分は「断層」と呼ばれる。
地震波を解析する段階では、このずれた部分を一時的に平面と仮定し、断層面の向きや鉛直方向の角度、震源の位置、地震の規模などを推定する。震源断層が曲がっていたり、複数あったりする場合、後の解析や余震の解析によって推測される。
震源で始まった岩盤の破壊は、秒速2~3kmで広がり、破壊された岩盤は、速い場合には秒速数mでずれを広げていく。
1923年の関東地震
1923年の関東地震では、神奈川県小田原直下近くから破壊が始まり、その破壊は放射状に伝播して40〜50秒で房総半島の端に到達した。長さ130 km、幅70 kmの断層面を作り出し、特に小田原市から秦野市の地下と三浦半島の地下で大きなずれが生じ、約8秒で7〜8 mもずれた。
1995年の兵庫県南部地震
1995年の兵庫県南部地震では、明石海峡の地下17 kmから始まった。その破壊は、北東の神戸市の地下から南西の淡路島中部にまで急速に広がり、わずか約13秒で長さ40 km、幅10 kmの断層面を形成した。
破壊が終結すれば、地震は終了したことになる。地震の規模は、断層面の広さとずれの大きさに関係している。通常、断層面が広くずれが大きければ大地震となり、小さな地震では破壊が小規模になる。
大地震が終わっても、断層面には未だに破壊が残り、歪みが蓄積する。これらの岩盤も、余震により徐々に破壊が進行する。
前震は、本震を誘発するものであるという立場や、本震の前に発生する小規模な破壊であるという立場があるが、未だ不明である。
本震の後に多数の余震が発生する「本震 – 余震型」や、前震も加わる「前震 – 本震 – 余震型」は、応力が急激に増加し発生する、と説明されている。一方、群発地震は、応力が比較的緩やかに増加し、多数の地震が発生するものと説明されている。
地震発生のきっかけ
地震は、地盤や岩盤に応力が溜まることによって発生する。しかし、応力を解放する引き金については、未だ謎である。様々な説があるが、どれも確実な答えではない。
引き金は、相関性の比較によって統計学的に相関を見出すことができる。しかし、それが因果関係であるかどうかは、地震学的な研究によって同定される必要がある。地震学と統計学は、どちらも自然現象を研究する分野だが、研究対象や方法が異なる。
水分の流入
兵庫県南部地震は、フィリピン海プレートからの圧力によって引き起こされた可能性がある。
東北大学の研究によれば、新潟中越沖地震や岩手・宮城内陸地震など、複数の地震は、断層の深部でのマグマが冷えて水分が生成され、これが地震を誘発する要因となる、とのことである。
さらに、アゾレス諸島の7つの火山島では、雨が降った後2日後に小さな地震が発生することがある。同じように、鉱山の水没域では、雨水が流れ込むことで地震が誘発されることがある。
海洋プレートが沈み込んだスラブでは、高圧力環境でカンラン石が熱水と反応し、脆い滑石を含む蛇紋岩に変化する現象が起こる。この滑石への変化と圧力勾配の変動が地震の発生要因となる可能性がある。
潮汐力
太陽や月との潮汐が地震の引き金になる可能性も考えられる。
潮汐とは、月と太陽の引力で発生する、海面の昇降現象のことだ。
潮汐力は、満月と新月時に強まり、地震を誘発する可能性が指摘されている。スマトラ島沖では2004年の地震の8年前から潮汐力が増加し、地震がその時期に集中していたことが分かっている。
東北地方太平洋沖地震の誘発地震とみられる一連の長野県北部(栄村)地震では、潮汐による影響が約50%の高い相関で確認された。東北地方太平洋沖地震の震源域でも、潮汐力の強さとMw5以上の地震発生数の相関関係が2000年頃から見られ、2011年の本震の数年前から顕著になった。
しかし、本震発生後にはこの関係が見られなくなった。
防災科学技術研究所は、歪みが蓄積した地域では潮汐力が地震の引き金となる可能性が高いと指摘している。
東京大学の地震科学研究グループは、1万件以上の地震データから、潮汐力が強い時期に巨大地震の発生確率が上昇する、という研究結果を発表した。
この研究は、小さな岩石の破壊が潮汐力によって大規模な破壊に発展する可能性がある可能性を示唆した。
動的な応力変化
大地震の場合、地震波が遠くに到達し、揺れている最中に別の地震が誘発されることがある。これは主に表面波の到達時に見られ、動的な応力変化が原因とされている。
遠く離れた場所で発生した地震の地殻変動が、動的な応力変化を引き起こし、時間を経てから別の地震を誘発するという研究報告もある。
まとめ
地震のメカニズムが我々にもたらす洞察は、我々に謙虚さを再確認させる。地震は破壊的で恐ろしいものかもしれませんが、それと同時に科学の探求心を刺激し、進歩を促進する要素でもある。
地震のメカニズムを理解することは、私たちの安全確保に加え、地球環境の変動にも対処する手助けとなる。地震の脅威に立ち向かうため、地震メカニズムの解明は、私たちの進むべき道を示す一環と言える。