プレートテクトニクスの基本2 プレートの境界

プレートテクトニクスは、地球科学の中で重要な理論の一つである。この理論によれば、地球の外殻にはいくつかの大きなプレートが存在し、それらのプレートが相対的に動いているとされている。

ここではそのプレートの動きをみていく。

プレートの境界

プレート同士が隣り合う部分を境界と呼ぶ。

境界には、「広がる」「せばまる」「ずれる」という3種類の動きがあり、
「せばまる」境界はさらに2種類に分けられる。

  • 発散型境界(広がる境界)
  • 収束型境界(せばまる境界)
    • 沈み込み型
    • 衝突型
  • トランスフォーム型境界(ずれる境界)

発散型境界の特徴

マントルの熱によってマグマが上がり、太平洋東部や大西洋中央に境界線ができている。この境界線は、年々東西に広がっている。地下からマグマが上がり、新しい地殻が作られている。
海底からかなり高く突き出ており、海嶺と呼ばれている。海嶺の拡大速度は異なり、速度が遅い海嶺には深い谷がある。

また、海嶺周辺には熱水が噴出するチムニーがたくさんある。

発散型境界はほとんどが海底にあり、まれに陸地にも見られる。

例えば、アイスランドは海嶺の一部が海面上に現れており、活発な火山活動が続いている。また、アフリカ東部にある大地溝帯は、深い谷と周囲の高い山々からなり、大西洋中央海嶺と似た地形を持っている。これは、ホット・プルームによってアフリカプレートが引き裂かれつつあると考えられている。

収束型境界(せばまる境界)

収束型境界では、プレートがぶつかり合ってつぶされる。衝突するプレートによって、起きる現象が変わる。どちらの境界でも、山脈ができる造山運動が起こる。

収束型境界 沈み込み型

大陸プレートと海洋プレートがぶつかり合うと、重い海洋プレートが下に沈み込み、深い海溝ができる。
大陸プレートは海洋プレートより軽いので、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む。
この沈み込みで上部プレートが反発して地震が発生し。これをプレート間地震と呼ぶ。

また、沈み込んだプレートの内部でも地震が発生することがある。これをスラブ内地震と呼ぶ。

沈み込んだプレートの内部では、水が分離して岩石が溶けやすくなり。そのため、大陸プレートの深部でマグマが発生し、火山が形成される。マグマが発生する場所は、沈み込みが起きている海溝から離れた大陸プレート側です。そのため、海溝から一定の距離を開けて、火山列が形成される。

火山列よりも海溝側には火山は存在しない。これを火山フロントと呼ぶ。

火山活動と大陸プレート同士の衝突で、大陸プレート側に陸弧と呼ばれる大山脈ができる。
陸弧の後ろ側が沈み込み、背弧海盆ができることもある。この場合、陸弧は大陸から離れて島弧になる。海洋プレートと海洋プレートがぶつかると、古いプレートが新しいプレートの下に沈み込む。このとき、島弧が形成されることもある。
島弧と海溝はセットで存在し、島弧・海溝系と呼ばれる。

海嶺でできたプレートは、海底を長い間移動していく。そのプレートには、チャートや石灰岩、砂岩、泥岩などの堆積物が乗っている。

プレートが沈み込むと、陸側のプレートに堆積物がくっつくことがある。これを付加と言い、付加体と呼ばれる。日本列島の多くは、この付加によってできたと考えられている。
沈み込んだ海洋プレートの残骸はスラブと呼ばれる。冷たく重いため、マントル内でさらに沈み込んでいき、外核とマントルの境界にまで達することもある

一方、付加体は形成されず、上部プレートの一部が削られて沈み込むタイプの境界もある。
侵食型の沈み込み境界は、沈み込み型境界の約57%を占めている。境界が付加型か侵食型かは、沈み込みの速度によって決まり。沈み込み速度が遅いほど、堆積物が沈み込みにくく、付加体になりやすい。

日本近海は、北の北アメリカプレート、東の太平洋プレート、南のフィリピン海プレート、西のユーラシアプレートの4つのプレートの境界が近接しているため、プレートの沈み込み運動が激しい地域だ。

東北日本の東の海中では、約1億年前に太平洋東部で生まれた重い太平洋プレートが、東北日本を載せた軽い北アメリカプレートにぶつかっている。重い太平洋プレートは、軽い北アメリカプレートにぶつかって、日本海溝に斜め下40 – 50°の角度で沈み込んでいる。

地下深く沈んだ太平洋プレートから分離された水は、周辺の岩石の融点を下げてマグマが発生し、北アメリカプレート側に多くの火山を生み出している。

火山から噴出した溶岩が固まって、陸地が形成された。

火山列の背後にできたのが、背弧海盆の日本海だ。2,000万年前から1,500万年前にかけて、日本海によってアジア大陸から切り離され、島弧が形成された。

太平洋プレートに衝突された北アメリカプレートは、圧縮されてひび割れ、たくさんの断層が発生し、北上山地などの山脈が生まれた。南海トラフではフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に、伊豆・小笠原海溝では太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込んでいる。
これによって、フィリピン海プレート側には伊豆・小笠原・マリアナ島弧と呼ばれる大規模な火山島弧が形成されている。日本海溝では、第一鹿島海山が沈み込んでいる様子が観察されている。

収束型境界 衝突型

大陸プレートがぶつかると、どちらも軽いため、一方が沈み込むことはなく、両者の境界が隆起し続け、大山脈ができる。

現在、最も活発で大規模な大陸衝突は、ヒマラヤで起こっている。もともと南極大陸と一緒だったインドプレートが北上し、約4,500万年前にユーラシアプレートと衝突した。インドプレートはその後もゆっくりと北上を続けている。

大陸プレートがぶつかっても、日本近海のように一方的に沈み込むことはなく、インドプレートはユーラシアプレートの下に部分的にもぐりこんで押し上げている。その結果、両大陸の間に堆積物などが付加され、8,000メートル級の高山がそびえ立つヒマラヤ山脈や、広大なチベット高原が形成されました。

ニュージーランド南島や台湾では、現在も大陸プレートがぶつかり合っている。これらの地域は、世界で最も速く成長している山地であり、台湾では海岸線でも年間5ミリメートル以上隆起している。

日本には、日高山脈と丹沢山地という2つの衝突型造山帯がある。丹沢山地は、伊豆半島が衝突してできたもので、現在もその衝突が続いている。一方、日高山脈は、すでに活動を終えている。

過去には、ヨーロッパアルプス、アパラチア山脈、ウラル山脈など、多くの大陸衝突が起こった。しかし、大陸衝突の過程には、まだ多くの謎がある。その理由は、沈み込み型境界では、深部で発生する地震の位置から地下のプレート形状を推定できるのに対して、大陸衝突帯では、深部で地震が発生しないためプレート形状を推定できないからだ。

トランスフォーム型境界(ずれる境界)

プレートがすれ違う境界には、横ずれ断層(トランスフォーム断層)ができる。
サンアンドレアス断層や北アナトリア断層は、アメリカ西部やトルコに位置する、非常に活発な横ずれ断層だ。

サンアンドレアス断層は陸上にありが、大西洋中央海嶺や東太平洋海嶺など、一連の海嶺の列の間にも、海嶺と海嶺をつなぐ横ずれ断層が多くある。

理論上は、2つのプレートが動く方向を結ぶ大円に直角に交差し、海嶺とも直角に交差する。
トランスフォーム型境界でも、巨大な地震が発生しやすい。

気象災害
アバター

ARC

日記を書いています。雑記ブログということで、明確にテーマを決めているわけではありませんが、そのときに興味のあることや、日常生活で役に立つことを書いていく予定です。